お知らせ・コラム
特定建築物定期調査告示における定期調査・検査等の項目の重複の解消について
2025/07/11
コラム
1.特定建築物定期調査の重複の解消【特定建築物、建築設備】
- 「換気設備」、「排煙設備」、「可動式防煙壁」、「非常用の照明装置」の作動の状況確認は、建築設備等定期検査でまとめて実施
- 「換気設備」「非常用の照明装置」の物品の放置の状況確認は、建築設備等定期検査で実施
2.特定建築物定期調査と昇降機定期検査との重複の解消【特定建築物、昇降機】
- 「非常用エレベーター」の作動の状況確認は、昇降機定期検査でまとめて実施
3.特定建築物定期調査と防火設備定期検査との重複の解消【特定建築物、防火設備】
- 各階の主要な「常時閉鎖式防火扉」について、運動エネルギー等、本体と枠の劣化および損傷の状況、作動するか、物品放置の状況、固定の状況確認は、防火設備定期検査で実施
- 防火設備定期検査の対象を定めている2016年(平成28年)国土交通省告示第240号を改正(常時閉鎖式防火扉を対象に追加)
新技術を応用した調査・検査の合理化
4.目視またはこれに類する方法による確認について【共通】
- 定期調査・検査(建築物、昇降機、遊戯施設、建築設備、防火設備)において、「目視またはこれに類する方法により確認する」と改正する
- 「これに類する方法」は、赤外線装置・可視カメラ・センサー等
5.非常用照明の確認方法(検査対象は変更しない)【建築設備】
- 予備電源の検査について、自動検査機能を有する場合には、非常点灯終了後の機器の表示等により確認することを可能とする。照度の検査について、自動検査機能を有し、かつ、非常用の照明装置としてLEDを用いている場合には、非常点灯終了後の機器の表示等により確認することを可能とする
不整合解消
6.防火設備定期検査の検査項目について【防火設備】
- 構造基準と検査基準を一致させるため、防火設備定期検査における防火扉等の危害防止装置の検査項目を「人の通行の用に供する部分に限る」ことを明確化する
7.「構造基準」と「調査・検査基準」との不整合があるものへの対応【特定建築物、昇降機】
以下を削除
- 建築物 戸の閉鎖力および運動エネルギーの計測
- 昇降機 小荷物専用昇降機における機械室の点検用コンセント
- 油圧エレベーターにおける機械室内の状況ならびに照明装置および換気設備等の防油堤の状況、標識の状況および消火設備の状況
特定建築物定期調査の主な変更点
特定建築物定期調査の主な変更点は、以下のとおりです。
- 調査方法の変更
- 建築設備等定期検査との重複の解消
- 防火設備定期検査との重複の解消
- 昇降機定期検査との重複の解消
- スプリンクラー設備の状況確認
1.調査方法の変更
特定建築物定期調査の方法は、以下のとおり変更されました。
改正後の「これに類する方法」とは、「定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査 ガイドライン」に則った調査を指します。
また、定期調査・検査を実施する者が「自らの目視によるときと同等以上の情報が得られる」と判断した方法も、これに該当します。具体的には、ファイバースコープ・双眼鏡・赤外線装置・可視カメラ・拡大鏡などによる確認が挙げられます。
なお、ほかの調査項目で「目視により確認する」と定められていた項目に関しては、すべて本項目と同じく「目視又はこれに類する方法」へと変更されています。

2.建築設備等定期検査との重複の解消
特定建築物定期調査と建築設備等定期検査との重複を解消するために、以下のとおり削除されました。※( )内は法改正前の調査項目の番号
換気設備・排煙設備・可動式防煙壁・非常用の照明装置における作動状況確認、換気設備・非常用の照明装置における物品の放置状況確認は、すべて建築設備等定期検査で実施するように変更されています。
ただし、排煙設備である自然排煙口の作動検査については、引き続き特定建築物定期調査にて行なうため、注意が必要です。

3.防火設備定期検査との重複の解消
特定建築物定期調査と防火設備定期検査は、以下の変更で重複が解消されました。
運動エネルギー等
本体と枠の劣化および損傷の状況
防火扉等が作動するか
物品の放置の状況
固定の状況の確認
各階の主要な「常時閉鎖式防火扉」について、以下の項目は防火設備定期検査で実施するようになりました。
- 運動エネルギー等
- 本体と枠の劣化及び損傷の状況
- 防火扉等が作動するか
- 物品の放置の状況
- 固定の状況の確認

図3 特定建築物調査から防火設備検査に移行した内容
4.昇降機定期検査との重複の解消
特定建築物定期調査と昇降機定期検査の重複は、以下の変更で重複が解消されました。
非常用エレベーターの作動状況確認は、昇降機定期検査で実施します。
5.スプリンクラー設備の状況確認の追加
スプリンクラー設備に関しては、確認項目が新設されています。
⑤固定の状況の確認
スプリンクラー設備の検査は、すべてが該当するわけではなく、令和6年(2024年)国交省告示第284号に該当するものが対象とされています。令和6年(2024年)4月1日に施行された規定であるため、それ以前のスプリンクラー設備については、該当なしとなります。
法第21条の大規模な建築物の緩和規定に伴い、告示改正後に確認申請を行なった案件、かつスプリンクラー設備が設置されている建物については、事前に確認が必要となります。
また、対象となるスプリンクラー設備について、検査6か月以内の消防検査にて検査されている場合は、その結果を反映できるとされています。
建築設備定期検査も改正があります。
