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避難階段とは?|緩和は、建築基準法を根拠に解説

2025/04/17

コラム

避難階段とは、直通階段の中でも避難に優れた階段のことで、『屋内避難階段』と『屋外避難階段』と『特別避難階段』の3種類あります。

避難階段は、原則として、5階建以上又は地下2階以下の建築物に必要になる

避難階段は、主として以下のような特徴がある

屋内避難階段:壁で囲み、内装制限や照明設備の設置が必要となる

屋外避難階段:階段の周囲には開口部を設けることが出来ない

特別避難階段:屋内避難階段の規制に加え、付室の設置等の内容が追加になる

避難階段は、高層建築物などで必ず出てくる重要な規制です。
『避難階段』とは?

避難階段とは、避難に優れた直通階段

建築基準法の避難規定では、直通階段の設置義務があります。その中でも、避難階段とは、その名の通り、避難に優れた直通階段のことです。直通階段については、以下の記事で詳細に解説しています。

単純に避難階段と言っても、『屋内避難階段』と『屋外避難階段』と『特別避難階段』の3つがあります

この3つの具体的な構造については、後ほど詳しく解説していきます。

避難階段の『設置義務』とは?

避難階段は、以下の建築物の部分に必要になる

必要になる建築物 必要になる避難階段
  • 5階〜14階建ての建築物
  • 地下2階の建築物
  • 3階・4階を物品販売店舗※とした建築物
以下3つのいずれかの避難階段
  • 屋内避難階段
  • 屋外避難階段
  • 特別避難階段
  • 15階建て以上の建築物
  • 地下3階以下の建築物
  • 5階以上の階を物品販売店舗※とした建築物
  • 特別避難階段

※…床面積の合計が1500㎡を超えるものに限る(令121条1項一号により)

ポイントとしては、15階建て以上の建築物となると、屋内避難階段や屋外避難階段ではなく、特別避難階段にしなくてはならないということです!

後ほど解説しますが、3つの避難階段の中でも、特別避難階段が最も条件が厳しいです。それだけ、安全性が重視された階段ということになります。

そして、15階以上の高層階の建築物や、地下3階以下の階の建築物は、安全性が重視された、特別避難階段を計画しなくてはなりません。

Q.任意で避難階段を設けるケースとは?

これ以外のケースでも、避難階段を計画することはあるの?

2つのケースで考えられます。

  • 2以上の直通階段の緩和を受けるとき(ただし、屋内避難階段では緩和を受けられないので注意)
  • その他関係法令の緩和を受けるとき

まず、建築基準法上では、2以上の直通階段の緩和を受けるために、避難階段の設置が必要になります。2以上の直通階段については、以下の記事で詳しく解説しています。

避難階段の『設置免除』とは?

避難階段の設置免除できる建築物

以下2つどちらの条件も満たす建築物

  • 主要構造部が準耐火構造又は不燃材料で造られている建築物
  • 5階以上又は地下2階以上の階の床面積の合計が100㎡以下である場合

以下2つどちらの条件も満たす建築物

  • 主要構造部が耐火構造である建築物
  • 床面積100㎡以内ごと(共同住宅の住戸の場合は、200㎡)に耐火構造の床・壁・特定防火設備※で区画されている場合

※…直接外気に開放されている階段室に面する換気のための窓で開口面積が0.2㎡以下のものに設けられる防火設備を含む。

5階以上・地下2階以下の規模が小さい場合や、建築物が100㎡で区画されている場合は、避難階段が不要となります!

これらの条件を満たした場合は、避難階段ではなく、通常の直通階段でもOKとなります。

緩和の条件に関しては、原則として特定防火設備で区画が必要ですが、共同住宅の住戸の扉などで所定の条件を満たした場合は『防火設備』にできる等の措置があります。

『屋内避難階段』が満たすべき条件とは?

屋内避難階段の条件

以下7つ全ての条件を満たす屋内階段(令123条1項)

部位 条件
壁の構造 ④、⑤、⑥の開口部等を除き、耐火構造の壁で囲む
内装制限 天井や壁は、仕上げを不燃材料、下地を不燃材料で造る
照明設備 『採光上有効な窓』又は『予備電源を有する照明設備』を設ける
スパンドレル 階段室の屋外に面する壁に設ける開口部※は、階段室から90㎝以上の距離に設ける(ただし、第112条第16項ただし書に規定する場合を除く)

※開口面積が各々1㎡以内で、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。

階段室に設ける窓 面積1㎡以内のはめ殺し防火設備とする
階段に通ずる出入口 防火設備で所定の構造※であるものを設ける

※…遮煙性能付きで以下のいずれかの構造
①常時閉鎖式
②随時閉鎖式で、煙感知器と連動して自動閉鎖するもの

階段の構造 耐火構造とし、避難階まで直通する
屋内避難階段は、いろいろ条件があるようですが、実はそこまで難しいものはないので、比較的計画しやすいです!

屋内避難階段に関しては、一つ一つ読み解いていけば、そこまで迷う内容もないかと思います。ただし、屋内避難階段の計画では、2以上の直通階段の緩和はできませんので、注意が必要です。

『屋外避難階段』が満たすべき条件とは?

屋外避難階段の条件

以下3つ全ての条件を満たす屋内階段(令123条2項)

部位 条件
階段と開口部の離隔 階段から2mの距離には、①以外の開口部を設けないこと(ただし、開口面積が各々1㎡以内で、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸は除く)
階段に通ずる出入口 防火設備で所定の構造※であるものを設ける

※…遮煙性能付きで以下のいずれかの構造
①常時閉鎖式
②随時閉鎖式で、煙感知器と連動して自動閉鎖するもの

階段の構造 耐火構造とし、避難階まで直通する

 

『特別避難階段』が満たすべき条件とは?

特別避難階段の条件

以下12つ全ての条件を満たす屋内階段(令123条3項)

部位 条件
付室の設置 屋内と階段室とは、バルコニー又は付室を通じて連絡する
付室の構造 付室の構造は、国土交通省が定めた構造又は国土交通省の認定を受けたものとすること
壁の構造 ⑥、⑧の開口部等を除き、耐火構造の壁で囲む
内装制限 天井や壁は、仕上げを不燃材料、下地を不燃材料で造る
照明設備 採光上有効な窓』又は『予備電源を有する照明設備』を設ける
スパンドレル 階段室の屋外に面する壁に設ける開口部※は、階段室から90㎝以上の距離に設ける(ただし、第112条第16項ただし書に規定する場合を除く)

※開口面積が各々1㎡以内で、法第二条第九号の二ロに規定する防火設備ではめごろし戸であるものが設けられたものを除く。

階段室の屋内に設ける窓(バルコニー及び付室に面する部分以外) 階段室には、バルコニー及び付室に面する部分以外に屋内に面して開口部を設けない
階段室の屋内に設ける窓(バルコニー及び付室に面する部分) 階段室のバルコニー又は付室に面する部分に窓を設ける場合においては、はめごろし戸を設けること。
バルコニー及び付室に設ける開口部 階段室以外の屋内に面する壁に出入口以外の開口部を設けない
10 階段に通ずる出入口 屋内からバルコニー又は付室に通ずる出入口→特定防火設備で所定の構造※であるものを設ける

バルコニー又は付室から階段室に通ずる出入口→防火設備で所定の構造※であるものを設ける

※…遮煙性能付きで以下のいずれかの構造
①常時閉鎖式
②随時閉鎖式で、煙感知器と連動して自動閉鎖するもの

11 階段の構造 耐火構造とし、避難階まで直通する
12 バルコニー及び付室の面積 建築物の十五階以上の階又は地下三階以下の階に通ずる特別避難階段の十五階以上の各階又は地下三階以下の各階における階段室及びこれと屋内とを連絡するバルコニー又は付室の床面積(バルコニーで床面積がないものにあつては、床部分の面積)の合計は、当該階に設ける各居室の床面積に、法別表第一(い)欄(一)項又は(四)項に掲げる用途に供する居室にあつては百分の八、その他の居室にあつては百分の三を乗じたものの合計以上とする

 

 避難階段は、以下の建築物の部分に必要になる

必要になる建築物 必要になる避難階段
  • 5階〜14階建ての建築物
  • 地下2階の建築物
  • 3階・4階を物品販売店舗※とした建築物
以下3つのいずれかの避難階段
  • 屋内避難階段
  • 屋外避難階段
  • 特別避難階段
  • 15階建て以上の建築物
  • 地下3階以下の建築物
  • 5階以上の階を物品販売店舗※とした建築物
  • 特別避難階段

※…床面積の合計が1500㎡を超えるものに限る(令121条1項一号により)

✔️避難階段を緩和できる建築物は以下2つ

以下2つどちらの条件も満たす建築物

  • 主要構造部が準耐火構造又は不燃材料で造られている建築物
  • 5階以上又は地下2階以上の階の床面積の合計が100㎡以下である場合

以下2つどちらの条件も満たす建築物

  • 主要構造部が耐火構造である建築物
  • 床面積100㎡以内ごと(共同住宅の住戸の場合は、200㎡)に耐火構造の床・壁・特定防火設備※で区画されている場合

※…直接外気に開放されている階段室に面する換気のための窓で開口面積が0.2㎡以下のものに設けられる防火設備を含む。

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